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白血病になった社長 患者になって気付いたMRの課題

弊社代表の昌原が2012年に白血病になり2014年に社会復帰、闘病中の2年間を、
患者の視点から今の医療、病院についてありのままを伝えるレポート

第3回 母の想いと医師への信頼

「急性リンパ性白血病(ALL)でほぼ間違いありません」
12年12月26日、私は医師からそう告げられました。
治療は骨髄移植です。先の見えない長い闘病生活に入ることになりました。

そして、病気のことを聞いた私の母が駆け付けました。
「お兄ちゃん……」
憔悴しきった母の顔は今でも目に焼き付いています。

それでも、母は気丈にこう言いました。
「友人の親戚が白血病の治療を受けたんだけど……。そこがいいと言われたの。お願いだから、その病院に行ってほしい」
必死な思いが伝わってきます。
「わかった。言う通りにするよ」

私は医師に、母が薦める病院で治療を受けたいと相談しました。
「昌原さん。選択するのは患者さんです。ご自分の納得いくようにしてください」
穏やかな表情で快く紹介状を書いてくれました。

しかも、「とりあえずセカンドオピニオンにしたいのですが」と申し入れたところ、「受診予定日までベッドは空けておきますね」と便宜まで図ってくれたのです。
自身の考えを強制することなく、患者の意思を尊重してくれる――
それまで抱いていた医師像とあまりにかけ離れていて、驚きを隠せませんでした。
医師の姿勢に心は揺れましたが、それでもなお、母の薦める病院に移ろうと決めたのには理由がありました。
骨髄移植の症例数が国内でトップ3に入る施設だったことです。

紹介状を持って訪れたその病院でも診断結果は覆ることはありません。
担当医は厳しい表情で
「選択の余地はありません。当院で治療しますから入院してください」
と言いました。
即座にクリーンルームの空きのある分院への入院となり、夕方遅くに到着。
そこでは、血液内科の部長から、病気や造血の仕組み、大まかな治療方針についての説明がありました。

「急性白血病には骨髄性とリンパ性があります。
いずれのタイプも発病時には白血病細胞が体内に1兆(10の12乗)個ほどあるため、最初の薬物治療法で顕微鏡では見えなくなる10億(10の9乗)個以下に減らし(=血液学的完全寛解)、さらなる化学療法(強化療法)によって100万(10の6乗)個以下にまで減らし、より感度のいい検査で微小残存病変(MRD)が検出されない状態(=分子生物学的完全寛解)に持って行くことで、正常な造血機能の回復を期待します。
また、抗がん剤は骨髄穿刺や遺伝子検査で同定された白血病のタイプによって決まります。
正常な成熟血液細胞の減少の程度に応じて感染症にかかりやすくなったり、息切れや倦怠感が生じたり出血を起こしやすくなり、さらに、病気や抗がん剤の副作用で骨髄抑制が起こるので輸血や抗生剤、抗菌剤の治療が必要になります。
抗がん剤治療後に正常血球が回復するまで1ヶ月程度かかります。
抗がん剤の副作用には脱毛や粘膜障害、末梢神経障害、吐き気などがあり、腎・肺などの臓器障害を起こす可能性もあります」

これはそのとき渡された説明資料にも書かれていました。
白血病がどれほど困難な疾患か改めて感じました。

ただ、医師から「わからないことがあったら説明しますから、遠慮なく聞いてくださいね」と声をかけられ、かつて自分や家族の入院で経験した医療とは比べものにならないほど丁寧だなと感じました。

「患者のために治療があり、選択権は患者にある」ことを前面に押し出すだけでなく、患者が病気や治療法を理解し、選択するために必要な情報をできる限り提供しようと努める医師たちの姿は、信頼を強めるのに十分でした。

医薬経済 2015/5/15

利用許諾番号Z32248

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