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白血病になった社長 患者になって気付いたMRの課題

弊社代表の昌原が2012年に白血病になり2014年に社会復帰、闘病中の2年間を、
患者の視点から今の医療、病院についてありのままを伝えるレポート

第9回 強化前処置の厳しさ

サイトメガロウイルス網膜炎を患い、移植が延期となりましたが、どうにか炎症も治まり、13年9月18日に移植のための再入院をしました。
化学療法で低下した体力の回復に努めました。
私が希望した生存率が改善する強化前処置を受けることもできます。
覚悟は固まっていました。

ところで、再入院して驚いたのは、日々の生活管理でした。
「昌原さん、これだけは守ってください」
このとき医師から厳しく言われたのは「マスク、手洗い、うがいの徹底」です。
それは移植患者の多くが上気道感染の重篤化が懸念されるからです。
「わかりました」
私も気を引き締めました。

クリーンルームは外気が入り込まないよう陽圧が保たれ、フィルターで細菌やウイルスが除去されます。
もちろん手洗いとマスク着用は義務付けられています。
ただ、それ以外は思ったよりも厳しくありませんでした。

まず、クリーンルームには家族が自由に出入りできます。
そして、食べ物の持ち込みもOKなのです。
ただし、外気に直接触れていたり汚染の可能性のある食品は、白血球1000/µl、好中球500/µlを下回っているときには一切禁止です。
具体的には、ぶどうやイチゴなど皮を剥かないで食べる果物はNG、衛生管理の徹底したHACCP認定工場でつくられた缶詰やレトルト食品、カップラーメンなどは食べていいのですが、コンビニ弁当やおにぎりはNGです。
密閉包装されている菓子パンは可能でも、調理パンやサンドイッチなどはだめ。
刺身などの生ものはもちろん納豆やヨーグルトもNGです。
チーズもプロセスチーズはOKですが、ブルーチーズなどカビがついているものはだめです。
ちなみに自宅療養中はアルコール類にも留意が必要です。
熱処理済の缶ビールはOKですが、生ビールはだめ、ウイスキーや焼酎など蒸留酒はいいのですが、ワインや日本酒などの醸造酒(発効させた菌が残っているもの)はNGといった具合です。
こうした細かいことは、病気になって初めて知ったことです。

さて、入院後1週間の検査期間を経て、9月の最終週に6日間かけて、いよいよ強化前処置です。
処置に入ってすぐに激しい下痢に襲われ、1日に20回のトイレ通いです。
この回数はやはり苦痛で、気の休まる時間がありません。
やがて、肛門周りに猛烈な痛みが走ります。
そして、ストレスなどもあり食欲不振に陥り、間もなく点滴で栄養を確保する生活になります。

全身放射線照射(TBI)は朝夕2回40~60分かけて2日間行います。
総線量は一度に照射すると死に至るレベルなので、4回に分けて治療を行うのです。
胃や腎臓、脾臓など放射線のダメージを受けやすい臓器の位置を直接身体にマーキングして、その部分に当たらぬよう光源にマスキングを施してから、全身に一気に照射します。

私自身は明るい性格(と自負)ですが、6日間の処置の最後のほうでは、もはや笑顔をつくることもままなりません。
家族が「大丈夫」と言っても「……」と返事を返すのも億劫になりました。

移植が2ヵ月半延びたにもかかわらず、「グリベック」や「スプリセル」を服用していたので、移植前の骨髄穿刺でMRD(微小残存病変)マイナスは確認されました。
MRDマイナス、つまり分子生物学的完全寛解の状態で骨髄移植を受けた場合、そうではない場合より予後がいいのです。

「昌原さん、よかったね」
先生方も喜んでくれました。

医薬経済 2015/8/15

利用許諾番号Z32248

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