白血病になった社長※ - 患者として人生に向き合う

※2015年当時。2016年1月より親会社ACメディカル(株)と経営統合し、現在はACメディカル(株)社長に就任

2012年の白血病発症後、社会復帰して5年。
その後も続く治療や新たな課題など患者の視点からありのままを伝えるレポートの第2弾

第8回 治療中の身で感じること

私は退院後、「スプリセル」を処方されていましたが、「タシグナ」に替えて、現在もその治療を続けています。

タシグナは食事の影響を避けるため、1日2回・空腹時(食事の1時間以上前か食後2時間以降)の服用が「用法・用量」に定められています。
私は薬剤師で血液型はA型というきっちりとした性格(ここで疑問を持たないでください)なので、何としてもそれを守りたいと思っています。
ところが、飲み会や接待があると飲食を終えてからの2時間(以降の服用)、起きていることがどうにもつらい時が結構あるのです。

一方、「スプリセル」は1日1回食後なのではるかに服薬遵守のしやすい薬です。
そのため主治医に変薬の相談をもちかけてもみたのですが、咳などの副作用も気になるところで、「今、何も起こっていないのなら薬は替えないほうがいい」とやんわり断られた経緯があります。

「タシグナ」は慢性骨髄性白血病(CML)の治療を劇的に変えた「グリベック」の後継となる薬のひとつです。
CMLに関しては移植をしなくてもこれらの薬物治療を一定期間以上行うことで、約半数の方が治療を止めたあとも2年間寛解が維持できることや、もし再び白血病細胞が増え始めたとしても服用を再開することで高い効果が得られることなどが臨床試験によってすでに示されています。

ところが、ph陽性急性リンパ性白血病(ALL)を対象としたストップ(投薬中止)試験はなく、同じとは言いきれません。

今、医師からは「昌原さんは3年間きっちり服用を続けているし、薬を半量程度に減らしても長期間再発のない患者さんを経験しているので、そろそろ2カプセルを1カプセルに減らすことを考えてもいいかもしれない」と言われています。

ph陽性ALLのような症例数の少ない疾患では、臨床試験も十分に行なわれない傾向にあります。
エビデンスの揃わない状況のなかで、私たち患者はさまざまな場面で自己選択を迫られています。
薬剤師の私でも悩むのですから、人生でほとんど医療と関係なく過ごされてきた人がCMLやALLになった時の苦悩、その後の治療における自己選択は大変なことだろうと思います。

また、今現在残っている治療の影響は、手足のしびれと首すじの発疹(好酸球性膿胞性毛包炎)、網膜炎です。
先日、もうすぐ薬剤性の末梢神経障害を改善する薬やサイトメガロウイルス(CMV)感染症を防ぐ薬が発売されると聞きました。

私はこうした話題に触れるたびに、「医学は日々進歩しているのだなぁ」と感心する一方で、「もう少し早く使えていたら、このような不快な症状に苦しむこともなかったのになぁ」と思ったりもします。
そして、「まだまだ医学の進歩は患者さんのほうを向いていないのでは?」と感じることもあるのは事実です。

例えば、骨髄ドナーを経験した人を対象としたアンケート調査によると、「導尿カテーテルを抜いた後の痛みや違和感」を骨髄採取前後の不快な出来事に挙げる人が非常に多いのです。

今や血糖自己測定もパッチ型になり、痛みを感じにくい注射針が開発される時代です。
心からの善意で骨髄を提供してくださるドナーの方の負担を少しでも減らすことができるよう、処置によって不快感や痛みが極力起こらないような工夫がされることを願ってやみません。それが私たち患者を救うことにつながるのですから。

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